第4面 〈インタビュー〉東京ユーポス 柏原 隆宏社長
近畿地区を基盤とする中古車買い取りチェーンのユーポスが関東進出を目指して立ち上げた東京ユーポス(柏原隆宏社長、川崎市高津区)が営業を始めてから1年が経過した。この間に東京本社の営業スタッフ増員や支店開設などを営業体制を拡充して順調に買い取り台数を積み上げてきた。今期は関東進出を確かなものとするため、事業拡大を一段と推進していくという。柏原社長に今後の取り組みなどを聞いた。
(栗原 浩之)
―1年を振り返って
「設立した10月はリーマンショックの直後で、非常に厳しい時期のスタートとなった。12月までは苦戦を強いられたが、今年に入ってからは少しずつ手応えを感じるようになった。おかげさまで初年度は約6千台を買い取ることができ、上々なスタートとなった。いま思えば、スタート時に苦戦したことが、逆によかったかもしれない」
―現在の状況は
「設立時は東京本社の営業スタッフ17人を4つの課に分けてスタートした。その後、3月までに営業スタッフを6人増員して5課体制とした。また、4月に練馬支店を開設し、10月16日には江戸川支店もオープンした。現在は東京本社を6課体制とし、二つの支店と合わせて、いわば8店舗体制とした。8人の店長のほか、営業スタッフ数も31人となり設立時の倍近くなった。コールセンター担当を含め全従業員数は65人に上る。営業スタッフの増員が売上増につながるだけに、今後もスタッフ数は増やしていく」
―注力しているところは
「当社は関東での知名度がなく、出張買い取り専門なので店舗も構えておらず、広告展開も行っていない。それだけに口コミや電話での対応がカギを握るわけで、コールセンターを設けて誠実に対応したことが実を結んできた。営業スタッフも増員にあわせて教育にも力を入れていく。また、買い取った車両を早く売ることも大切だ。AAで売却するまでの期間を当初よりも2~3日短くして、ほぼ1週間で売るようにしている。AAでの売却も、できるだけ1回で売るようにしている。再出品までの時間や手間、別会場への陸送費用などを考慮すると1回のほうがよいことが多い。そうした取り組みで収益性も向上してきた」
―来店型の店舗や小売りは
「いまのところは考えていない。査定依頼に対して有利な条件を提示するために紹介販売や業販も行っているが、基本的に買い取った金額とAAでの売却益との差額を収益源としている。いまでは古典的な手法かもしれないが、まずは出張買い取りで収益を確保できる体制を整え、関東での基盤を固めていく。そのうえで、来期にも来店可能な店舗を構えることを考えていく。フランチャイズチェーン(FC)はそのあとだ」
―今期の取り組みは
「今年は本格的な関東進出がテーマだ。江戸川支店はその先陣で、東京都の東部だけでなく千葉方面もカバーしていく。その後、神奈川県厚木市やさいたま市、栃木県小山市などに出店する。可能なら10店舗を増やしていきたい。設立当初は今期末に1万台の買い取りを掲げていたが、1万5千台を目指していく。また、大阪のユーポス本部とも業務管理システム『ビーナス』の活用などで連携を強めていく」
[日刊自動車新聞]