自動車に不具合や見落としは付きもの!自動車を個人間売買で売る際に購入者と交わしたい書類の一つ「覚書」
自動車に不具合や見落としは付きもの!自動車を個人間売買で売る際に購入者と交わしたい書類の一つ「覚書」
自動車を高く売る方法のひとつとして、自分で個人の買い手を見つける個人間売買があります。
中間業者の手数料がいらず、次のオーナーとなる人の買値=売値となるだけに高値をつけやすく、
少々手間はかかるもののメリットは大きいといえます。
しかし、この個人間売買には重要な注意点があります。
それは、自動車の売買に不慣れな個人同士の取引が故に見落としも多く、
後々トラブルに発展する事例が後を絶たないことです。
そこで、過去に発生した具体的なトラブル事例を確認し、それらを回避するための方法について解説します。
■自動車の個人間売買にまつわる具体的なクレーム事例を紹介
自動車業界は、故障による揉め事が多いもの。
中でも個人間売買における瑕疵担保に関する係争が多い傾向にあるので、具体的な事例をいくつか紹介します。
《オートマチックトランスミッションが故障し修理費請求》
個人間売買の基本である買い手による現車確認が終了し、無事に取引成立。
数日後、400km程度走行したところで、オートマチックトランスミッションが故障して走行不能に。
売り手側で修理して欲しいと一方的に買い手から連絡。
《オイル漏れがみつかり返品要求》
現車確認時には異常が見当たらなかったものの、購入後数日が経過し、
駐車場の床面に染みができていたことからオイル漏れが発覚。買い手から売り手に返品を要求。
これらの事例の大半は、どちらかが泣き寝入りするか、泥沼の裁判に発展するかの結末をたどることになります。
また、悪質なケースでは故意に不具合を見過ごし、後日多額の修理費を請求してくることもあります。
後ほど、売り手として身を守る手段についてお伝えします。
■自動車売却後の事故は誰の責任?
自動車を売り、引き渡し後から名義が買い手に移るまでの暫定期間に焦点をあててお話します。
自動車を売る際の最大のリスクは、故障や瑕疵による係争ではありません。
もっと大きなものとして、人命に関わる交通事故の発生があります。
なぜなら、重大な事故の場合は人命や物品に対する無制限の賠償責任が科せられるからです。
刑法の観点で見れば、確かに刑事責任や行政罰は事故を起こした際の運転者自身を対象としており、
過渡的期間の暫定所有者でしかない売り手が責任を追及されることはありません。
しかし、これがひき逃げや当て逃げのように運転者を特定できない状況下では、
所有者であるあなたに疑いの目が向けられ、自身の無実を立証する必要が出てきます。
また、民法上の解釈では、事故の際の責任は運転者だけではなく所有者にも追及できてしまいます。
これは、運転者の賠償能力不足から被害者を守るための救済措置です。
つまり、運転者=買い手の対応次第では、書類上の所有者である売り手にも
損害賠償が請求される恐れがあるということです。これだけは、なんとしても回避したいところです。
■覚書としてこれだけは交わしておきたい内容
上述したようなリスクを回避するための方法のひとつとして、売買契約書を交わすことをおすすめします。
契約内容に盛り込んだ方がいい事柄を具体例としてご紹介するので、参考にしてみてください。
《お金の話》
自動車を売る際には、車両本体価格以外にも各種税金やリサイクル料などに関する取り決めが必要となります。
どういった形で誰が負担するのか明確にしておきましょう。
《重要書類》
自動車の売買では、見ず知らずの他人をある程度信用して重要書類を預けることになります。
悪用される恐れもあるため、取り扱いについて明記しておく必要があります。
《引き渡し物品》
車両と書類以外にも、スペアキーや取扱説明書、車載工具などの付属品を渡すことになります。
何を渡したかを残しておくことで、後々の不渡りトラブルを回避できます。
《名義変更実施期限》
前述したように名義変更完了までは、書類上の所有者としてのリスクがつきまといます。
速やかに名義変更を終わらせてもらうためにも、あらかじめ期限を設定しておきましょう。
名義変更後は新しい車検証をFAXしてもらうなど、変更が完了していることを必ず確認しましょう。
《名義変更前の交通違反、事件・事故の扱い》
万が一の重大事故が発生してしまった場合の責任を明確にしておくためにも、
車両引渡し後のいかなるトラブルも全て購入者側で処理することに同意してもらいます。
自動車の売買、特に個人間におけるリスクとそのヘッジ方法の例を解説しました。
トラブルに完全に対応できるかは個々の状況や法的見解により異なりますが、
もしもに備えておくことは決して無駄ではありません。
手間を惜しまず、契約書を交わしておくことをおすすめします。