意外と知られていない!自動車保険の種類
意外と知られていない!自動車保険の種類
日頃から安全運転を心がけていても、事故はいつ起こるかわかりません。
そんな万が一の事故の時に役立ってくれるのが自動車保険で、
ほとんどの方が任意保険と呼ばれる保険に加入していることと思います。
実際に2015年の統計データでは、任意保険加入率は73.8%とのことです。
この数字が想像より多いか少ないかは判断の分かれるところではありますが、
大多数の方が加入していることは確かです。そんな大多数の方が加入されている任意保険について、改めて内容を詳しくご紹介します。
■改めて知ろう!強制加入の自賠責ってなに?
自動車保険には、強制加入の自動車賠償責任保険(自賠責)と任意加入の保険の2種類があります。
任意保険の前に、基礎となる自賠責保険について再確認しましょう。
《保障の範囲と限度額》
自動車事故により万が一他者の生命に損失を与えた場合、賠償を受けることができるのが自賠責です。
補償の範囲と支払限度額については、以下のように決められています。
・傷害による損害
補償の範囲は、治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料で、最高120万円まで支払われます。
・後遺障害による損害
後遺障害により発生する遺失利益や慰謝料等を対象として、介護の有無により以下の通り支払われます。
-神経系統・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残して介護が必要な場合
常時介護のとき:最高4,000万円
随時介護のとき:最高3,000万円
-後遺障害の程度により
第1級:最高3,000万円~第14級:最高 75万円
・死亡による損害
葬儀費、逸失利益、慰謝料を対象として、最高3000万円まで支払われます。
《加入の方法と保険料》
強制加入となっていますので、加入の意思表示は不要です。
車検を取得する際に、重量税等と合わせて加入期間(車検有効期間分以上)の分だけ保険料を支払うことになります。
自家用自動車24か月の場合、25,830円となっています。
■任意保険の種類と意味について
前述の自賠責の支払限度額を見て、驚かれた方も多いのではないでしょうか。
他人に傷害を負わせたり最悪の場合死亡させた場合の賠償として、とても足りる額ではありません。
その足りない分を補ってくれるのが、任意保険です。
任意保険は主に以下の7種類から構成されていて、これらを組み合わせて契約することになります。
《対人賠償保険》
交通事故により乗員や歩行者にケガを負わせたり、死亡させたりした場合に、
自賠責保険の補償では賄いきれない範囲に対して保険金が支払われます。対象はあくまで他者であり、
運転手や記名被保険者、およびその父母・配偶者・子以外となります。通常は金額に制限を付けない「無制限」を選択します。
《対物賠償保険》
交通事故によって相手の自動車や物品などの財物に損害を与えた場合に、保険金が支払われます。
自賠責は対人賠償のみのため、任意保険に未加入だと全ての対物賠償を自分で負担することになります。
また、物品そのものだけでなく、その遺失利益についても対象となります(例えば、バスやタクシーの営業補償など)。
《搭乗者傷害保険》
交通事故により自動車に搭乗中の人(運転者や同乗者)が、傷害または死亡した場合に支払われる保険です。
《自損事故保険》
単独事故や相手の過失がゼロである交通事故において、傷害または死亡した場合に支払われる保険です。
自損事故保険は対人賠償保険に自動的に付帯されています。
《無保険車傷害保険》
交通事故の相手が任意保険に加入しておらず十分な補償が受けられない場合に、かわりにこの保険から保険金が支払われます。
上限金額は自分が契約している対人保険と同額ですが、無制限の場合は2億円が上限となります。
また、対人のみであり自動車や遺失利益については対象となりません。
《車両保険》
交通事故により自動車が損害を受けた場合に、修理代などが支払われる保険です。
補償範囲により掛け金が大きく増減します。一般車両保険はほぼすべてをカバーしており、
その下に単独事故や当て逃げを除いたエコノミー+Aや他車との接触による損傷のみに限定したエコノミーなどがあります。
《人身傷害補償保険》
最近一般化してきた保険で、交通事故によって搭乗者が傷害または死亡した場合に、
保険会社の基準によって実損害額相当の保険金が支払われます。
また、記名被保険者や配偶者、およびその同居親族、別居の未婚の子にあたる人が、歩行中に交通事故にあった場合にも補償されます。
■意外と知られていない任意保険の自由化前後
実は意外と知られていない事実なのですが、
1998年に自動車保険が自由化される以前は保険会社による保険料や商品に違いはありませんでした。
法律により一律で保険料の料率が決められていたのです。自由化以降には保険会社による独自基準の割引が工夫され、
同時に様々な新商品が登場することで多様化してきました。
消費者からするといいことばかりに感じられますが、デメリットもあるのでまとめてみました。
《自由化によるメリット》
・各社の競争により保険料が安くなった
・バリエーションが細分化され、自分にぴったりあった商品を選べるようになった
・通販型の参入により代理店手数料分安くなった
・国内の保険会社だけでなく海外の保険会社も選べるようになり選択肢が広がった
《自由化によるデメリット》
・商品が多様化したことにより複雑化し、選択が難しくなった
・選択を誤ったことによる補償適応外になる事象が増えた
基本となる保険に焦点をあてて解説しましたが、実際にはさまざまな特約や割引が絡むため、
自動車保険の選択はより複雑になります。自由化後のデメリットである選択ミスによる不払いは、
とても見過ごすことはできません。自分の身を守るためにも、
せっかく契約した保険がいざというときに役にたつかどうか、
契約内容を細部まで把握しておくことが重要です。特に適応外になる事例を頭に入れておくとよいでしょう。