自動車を売るときの査定では、必ずしも個人情報を開示する必要はなし!?
自動車を売るときの査定では、必ずしも個人情報を開示する必要はなし!?
近年では大企業による個人情報流出問題や、
EUでのGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規制)の施行と、
個人情報に関する話題が盛りだくさんです。GDPRには違反法人に対する莫大な罰則金が科せられており、
個人情報管理の難しさとその利用価値を如実に物語っています。
それほど価値ある個人情報ですから、提供する側も重要性を認識する必要があります。
そこで今回は、中古車売買に関する個人情報についてお話します。
■自動車にまつわる個人情報、悪用可能なものも!
昨今の特殊詐欺多発や個人情報流出騒ぎを受けて、個人情報の提供に慎重になっている方がほとんどだと思います。
自動車の売買の際に提供する個人情報や重要書類の中には悪用可能なものも含まれているため、念のため確認しておきましょう。
《預ける書類》
これまでにも名義変更の方法を解説する際などに説明しましたが、
自動車を売却する場合は以下の書類を新しいオーナーや買取店に預けることになります。
・車検証
・印鑑証明
・押印済みの委任状
・譲渡証明書
・納税証明書
・リサイクル券
・自賠責保険証書
上記のような書類は、その気になれば以下の用途に悪用することも可能です。
・身に覚えのない借金やローンの名義人にされる。または、その保証人にされる
・自分の意思と関係なく自動車や不動産を購入、または売却される
・特殊詐欺のターゲットにされる
もちろんこれらは犯罪行為であり、そうそう巻き込まれるものではないと考えている方もいるでしょう。
しかし、被害者になり得る可能性は誰にでもあります。
少しでもリスクを抑えるためにも、不用意に個人情報を開示しない(例えば、無駄に免許証のコピーを取らせないなど)、
書類を引き渡す前に決められた用途以外に使わないことを記載した契約書を交わす(中古車買取店の場合は元々準備されている場合がほとんど)
などの心がけが大切です。
※例外として、一時抹消手続きを自分で行ってから売却することにより、印鑑証明書等の重要書類の提示が不要となります
■査定時に個人情報を開示する必要性はあるのか?
自動車を売却する際には、個人情報なしで査定を受けることも可能です。
なぜなら査定する対象はあくまでも自動車そのものであり、自動車の価値とオーナーの個人情報は無関係だからです。
また、自動車を査定してもらう際に、必ずしもオーナーが立ち会う必要はないということもいえます。
ただし、車検証についてはなしというわけにはいきません。
初年度登録や車検年月、旧走行距離等の情報を確認するために必要となります。
どうしても車検証記載の個人情報が気になる場合は、所有者の氏名や住所の欄にカバーをかけるなどの工夫で対応可能です。
査定後に売却が決まった場合には、個人情報の開示が必要となります。
盗難車の可能性もあるため、売り手の身元を明らかにする必要があるためです。
また、その後の手続きにおいても名義変更に関する書類を提示することになります(一時抹消済みの場合以外)。
一括査定サイトについても、連絡先以外の個人情報を入力する必要がないものもあるので、気になる方はそれらを利用するのもいいでしょう。
■個人情報を開示しなかった際の実害の有無
査定時に個人情報を開示しないことによる実害についてお話します。
まずは、前述したように車検証については開示した方がいいです。
開示しなかった場合は、せっかく査定を受けているにもかかわらず正確な買取価格を算出することができません。
これは明らかにデメリットといえます。
その他には、査定士に自宅に来てもらうことができない、
携帯電話の番号を教えなければ速やかに連絡を取る手段がないなどが挙げられますが、
どれもそれほど重要なことではありません。
確かにこれまでの自動車の使用の背景を知るためにも個人情報はあった方がいいものですが、
査定において必須とはいえず、開示しないことによる決定的な実害と呼べるものはないといえます。
情報漏洩の問題などから、大手や有名だからと手放しに信用できない世の中であり、
自動車の売却について神経質になる気持ちもわかります。
ただし、情報の秘匿性と可用性は二律背反の関係にあり、
開示を拒むだけ手間が増えるのは確かです。
どこで折り合いをつけるのか自分の中でのバランス点を見つけることが重要になってきます。