車は何年落ちで査定額が下がる?約7.7万件の実査定データで「年式の壁」を検証
車を売るタイミングを調べていると、「3年落ち」「5年落ち」「7年落ち」「10年落ち」といった言葉を目にすることがあります。
「5年を超えると査定額が大きく下がる」「10年落ちになると一気に価値が下がる」といった説明もよく見られます。
では、実際の査定データでも、特定の年数を境に車の価値は大きく下がっているのでしょうか。
今回ユーポスでは、2024年9月1日から2026年8月31日までの実査定データ約7.7万件をもとに、車齢と査定価格の関係を分析しました。
単純に「3年落ちの平均査定額」と「5年落ちの平均査定額」を比べるのではなく、走行距離、車種・型式、グレード、車両評価、査定時期、駆動方式、燃料、外装色、車検残期間など、査定価格に影響する条件を考慮しています。
分析すると、すべての車に共通する「○年の壁」があるというよりも、車齢が進むにつれて下落の強さが変化し、そのタイミングも車種やボディタイプによって異なることが分かりました。
今回の分析で確認できた主な傾向
- 2年落ちから3年落ちの下落は比較的小さかった
- 5年付近から下落幅がやや大きくなる
- 7~10年付近では、多くの型式で下落幅が大きくなる傾向が見られた
- ミニバンと軽自動車では、下落が目立つ時期に違いがあった
- 「○年落ちだから一律に下がる」とは言えず、車種固有の需要や流通環境も影響する
車は何年落ちで査定額が下がる?
まず、車齢が1年進んだときに査定価格がどの程度変化しているのかを見てみます。
型式ごとに分析し、その中央値を比較すると、次のような結果になりました。
| 車齢の変化 | 補正後の査定価格変化 |
|---|---|
| 2年 → 3年 | 約-1.2% |
| 3年 → 4年 | 約-4.1% |
| 4年 → 5年 | 約-5.9% |
| 5年 → 6年 | 約-4.7% |
| 6年 → 7年 | 約-4.4% |
| 7年 → 8年 | 約-10.5% |
| 8年 → 9年 | 約-9.3% |
| 9年 → 10年 | 約-10.9% |
| 10年 → 11年 | 約-8.6% |
※型式ごとに年齢帯の査定価格変化を分析し、その中央値を掲載。走行距離、グレード、評価点、査定時期などの条件差を考慮しています。

今回のデータでは、3年落ちになった段階で急激に査定価格が下がるというより、5年付近から下落がやや大きくなり、7~10年付近で下落幅がさらに広がるという形になりました。
ただし、この数字だけを見て「7年になった瞬間に10%下がる」と考えるのは適切ではありません。
実際の車の価値は連続的に変化しています。また、車種ごとの需要やモデルチェンジ、輸出市場などによっても価格の動きは異なります。
「3年の壁」は今回のデータでは明確ではなかった
車の売却タイミングとしてよく意識されるのが「3年」です。
新車購入後、最初の車検を迎える時期でもあるため、「3年以内に売った方が高い」といわれることがあります。
しかし今回の分析では、2年落ちから3年落ちへの補正後査定価格の変化は、型式別の中央値で約-1.2%でした。
さらに、2年落ちから3年落ちで下落方向となったのは、分析可能だった20型式のうち12型式でした。
つまり、今回のデータだけを見る限り、「3年を超えると多くの車で査定額が急落する」という一律の傾向は確認できませんでした。
もちろん、3年で売却することにメリットがないという意味ではありません。
年式が新しいほど査定価格が高くなりやすいこと自体は変わりませんが、「3年」という年数そのものが査定価格を大きく変える境界になっているかどうかは、別の話として考える必要があります。
5年付近から下落幅がやや大きくなる
3年付近と比べると、4年落ちから5年落ちでは下落幅が大きくなりました。
今回の分析では、4年から5年への補正後査定価格の変化は、型式別中央値で約-5.9%です。
5年という年齢は、一般的には2回目の車検時期とも重なります。
そこで今回の分析では、車検残期間の違いについても確認しました。
その結果、車検残期間を考慮しても、車齢が進むことによる下落傾向そのものは残りました。
そのため、「5年付近で査定価格が下がるのは、単純に車検が近いから」とだけ説明するのは難しいと考えられます。
一方で、5年落ちはすべての車に共通する明確な境界ではありません。
後ほど紹介するボディタイプ別の分析では、ミニバンと軽自動車で異なる動きが確認されています。
7~10年付近では、多くの型式で下落が大きくなった
今回の分析でよりはっきりした変化が見られたのが、7年以降です。
型式別の中央値は、7→8年で約-10.5%、8→9年で約-9.3%、9→10年で約-10.9%となりました。
さらに重要なのは、中央値だけではありません。
各年齢帯で、実際にどれだけの型式が下落方向になっていたかを見ると、次のようになりました。
| 車齢の変化 | 下落方向だった型式 |
|---|---|
| 2年 → 3年 | 12 / 20型式 |
| 7年 → 8年 | 28 / 30型式 |
| 8年 → 9年 | 25 / 27型式 |
| 9年 → 10年 | 25 / 26型式 |

7~10年では、単に一部の車種が大きく下がって中央値を押し下げているだけではなく、多くの型式で下落方向の動きが確認されています。
今回のデータでは、「3年の壁」よりも、7~10年付近で査定価格の下落が広がる傾向の方が明確でした。
ただし、ここでも「7年」「10年」という年数そのものを絶対的な境界と考えるべきではありません。
実際に価格が大きく変化するタイミングは、車種によって異なります。
ミニバンと軽自動車では「下がりやすい時期」が違った
では、車のタイプによっても価格の下がり方は違うのでしょうか。
今回、十分なサンプルが確保できた年齢帯について、ボディタイプ別の分析も行いました。
公開する数値については、特定の人気車種だけに結果が引っ張られないよう、型式数や各年齢帯のサンプル数などに一定の基準を設けています。
| 車齢の変化 | ミニバン | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 4年 → 5年 | 約-7.1% | ― |
| 6年 → 7年 | 約-5.2% | ― |
| 7年 → 8年 | 約-13.2% | 約-10.3% |
| 8年 → 9年 | 約-10.4% | 約-6.4% |
| 9年 → 10年 | 約-6.2% | 約-11.3% |
| 10年 → 11年 | ― | 約-6.8% |
| 11年 → 12年 | ― | 約-10.5% |
※「―」は下落が0%という意味ではなく、今回設定した公開基準を満たすデータが得られなかったため数値を掲載していません。

ミニバンでは、4年から5年の時点ですでに約7.1%の下落が確認され、7年から8年では約13.2%まで下落幅が拡大しました。
一方、軽自動車では4年から5年について今回の公開基準を満たす明確な数値は採用されず、7年以降の年齢帯で大きな下落が確認されています。
この結果だけから、「ミニバンは5年で売るべき」「軽自動車は7年まで乗ってもよい」と判断することはできません。
しかし、車の価値の下がり方が、すべてのボディタイプで同じではないことは今回のデータからも確認できます。
なぜ車種によって「査定額が下がる年」が違うのか
ここまでの結果を見ると、「車は○年落ちになると価値が下がる」という単純な説明だけでは不十分です。
中古車の査定価格は、経過年数だけで決まっているわけではありません。
例えば、モデルチェンジによって旧型の中古車相場が変化することがあります。また、国内市場で人気の高い車と、海外需要が強い車では、年齢が査定価格に与える影響も異なります。
特に日本の中古車相場では、車種によって海外への輸出需要が大きく影響するケースがあります。
海外市場では、単に「○年落ち」という呼び方だけで車齢を判断するわけではありません。
仕向国や制度によって、初度登録からの経過期間が関係する場合もあれば、製造時点が基準となる場合もあります。また、年単位だけでなく月単位の条件が影響するケースもあります。
そのため、ある型式で「7年から8年にかけて査定価格が大きく下がった」という結果が出たとしても、7年という年齢だけが原因とは限りません。
国内での需要、海外での需要、モデルチェンジ、流通量、為替、市場相場など、複数の要因が重なって価格が形成されています。
つまり、全体の傾向で個別の車種の状況を語ることは相当困難というのが結論です。
さしあたり、「7年」というのは多くの車種・型式において価格下落の節目となりやすい、ということは言えると思います。
査定の現場では「何年落ちか」だけを見ているわけではありません。
同じ7年落ちでも、国内需要が強い車、海外需要が強い車、モデルチェンジ直後の車などでは、査定価格の動きが異なります。
「○年落ちだから売るべき」とは限らない
今回の分析からも分かるように、すべての車に共通する「売却すべき年数」があるわけではありません。
年式が新しい方が査定価格は高くなりやすいため、売却を決めているのであれば、一般的には時間が経つほど価格面では不利になります。
しかし、「5年になる直前に必ず売る」「10年を超える前なら必ず得」といった考え方は、実際の中古車市場を単純化しすぎています。
重要なのは、自分の車がどの車種・型式で、現在どの程度の中古車需要があり、走行距離や車両状態を含めてどのくらいの価値があるかです。
売却を検討している場合は、「○年落ち」という数字だけで判断するよりも、一度現在の査定価格を確認したうえで、乗り続ける場合との比較をする方が現実的です。
まとめ|「年式の壁」はすべての車に共通するものではない
1.3年付近の急落は今回のデータでは明確ではなかった
2年から3年への補正後査定価格の変化は、型式別中央値で約-1.2%でした。
2.5年付近から下落幅がやや大きくなった
4年から5年では約-5.9%となり、3年付近より下落幅が大きくなりました。
3.7~10年では多くの型式で下落が確認された
7~10年付近では中央値の下落幅が大きく、多くの型式が同じ下落方向となりました。
4.ボディタイプによって価格の下がり方も異なる
ミニバンと軽自動車では、下落が目立つ年齢帯に違いが確認されました。
今回の分析で分かったのは、車の価値が「3年」「5年」「7年」「10年」という決まったタイミングで一律に下がるわけではないということです。
経過年数は査定価格を左右する重要な要素ですが、実際の相場は車種、型式、走行距離、車両状態、国内外の需要などによって変化します。
「何年落ちか」だけを見るのではなく、その車が現在どの市場で、どのように評価されているかを見ることが重要です。
調査・分析について
本記事は、株式会社ユーポスが保有する2024年9月1日~2026年8月31日の実査定データ約7.7万件をもとに分析しています。
分析には契約金額ではなく、査定時点の「査定価格」を使用しています。
単純な年式別平均価格ではなく、車種・型式ごとに、走行距離、グレード、車両評価、査定時期、駆動方式、燃料、外装色、車検残期間など、査定価格に影響する条件の違いを考慮したうえで、車齢が進んだ際の査定価格の変化を分析しています。
また、ボディタイプ別の比較については、特定の人気車種だけで結果が決まらないよう、まず型式単位で年齢帯ごとの変化率を算出し、その中央値を使用しました。
記事に掲載するボディタイプ別の数値については、対象型式数、各年齢帯のサンプル数、下落方向の一貫性などに一定の基準を設け、基準を満たさない区分については参考値としても掲載していません。
なお、本記事で示す数値は分析対象データから確認された傾向であり、特定の経過年数に達したことで査定価格が一定割合下落することを保証するものではありません。
実際の査定価格は、車両状態、装備、市場相場、国内外の需要などによって異なります。
データ提供・分析:株式会社ユーポス






