
ブレーキパッド交換はどういうときに行うもの?対処法から費用まで解説します
車のブレーキは安全に減速、停車させるために非常に重要なものですが、正常な機能を保つためにはブレーキパッド交換はかかせません。
ブレーキパッド交換には専門家の技術が必要なので、この記事を参考に定期的な点検や交換を行いましょう。
このページの目次
ブレーキパッドの役割とは?
ブレーキは制動装置とも呼ばれており、車を減速させる機構です。
車の3大要素である走る、曲がる、止まる、のうち一つを担っている機構であり、ブレーキがなければ車を安全に減速させることはできません。
ブレーキはいくつかの構成要素からできていますが、その中でブレーキパッドの役割は重大です。
ディスクブレーキの制動力を発生させる部品
自動車用のブレーキは現在ほとんどの車種が「ディスクブレーキ」を採用しており、そのディスクブレーキの制動力を発生させる部品がブレーキパッドです。
ディスクブレーキは大きく分けて3種類の部品で構成されており、次のような役割があります。
・ディスクローター:車輪とともに回転する円盤
・ブレーキパッド:ディスクローターに接触することで摩擦力を発生させ制動力を生み出す。
・ブレーキキャリパー:ブレーキパッドをディスクローターに押し付ける油圧装置
このほかに、ブレーキのコントロール装置や油圧機構などをまとめて、ブレーキシステムと呼びます。
ディスクローターを挟み込むようにブレーキパッドが配置されており、ドライバーがブレーキペダルを踏み込むと、キャリパーが油圧によりブレーキパッドを押し出します。
そしてディスクローターにブレーキパッドが接触することで車輪に制動力が生まれ、車を減速させたり停車させたりするのです。
まさに制動力の根幹を担う部品であり、数多くある自動車部品の中でも重要度はトップクラスです。
ブレーキパッドは減っていく
ブレーキパッドがディスクローターに接触する部分には「摩擦材」が付いていますが、摩擦材はローターとの接触により少しずつ摩耗していきます。
ブレーキパッドの材質は非常に多数の材料で構成されていますが、樹脂や繊維類、潤滑剤などの摩擦調整剤などが配合されています。この配合次第で制動力や耐久性、ブレーキ鳴き耐性など性能が決まります。
一方で、ディスクローターは鋼材で作られるため、この2つが接触するとより柔らかいブレーキパッド側が多く摩耗します。
摩耗が一定以上進行した際には、交換が必要となります。
ドラムブレーキの場合はブレーキシュー
自動車用ブレーキにはもう一つ種類があり、「ドラムブレーキ」と呼ばれるものがあります。
ドラムブレーキは昔の車に数多く採用されましたが、現在では一部の商用車や軽自動車にしか使われません。
ドラムブレーキは鋳鉄製の円筒であるドラムが車輪と一緒に回っており、その内側に摩擦材である「ブレーキシュー」があります。
ブレーキペダルを踏むとブレーキシューがドラムの内側に接触して摩擦力が生まれ、制動力を発生します。ブレーキシューもブレーキパッドと同じく少しずつ摩耗していくので、こちらも定期的に交換が必要です。
以前は制動力が高くコスト的にもメリットのあるドラムブレーキが主流でしたが、ドラムブレーキは熱を持ちやすく不安定な面もあります。
そのため、放熱性がよく安定するディスクブレーキへの置き換えが次第に進み、現在では国産車のほとんどがディスクブレーキとなりました。
もし今でもドラムブレーキの車に乗っている場合は、しっかり定期的なメンテナンスを行いましょう。
ブレーキパッドの寿命や見極め方

ブレーキパッドは走行中に制動するたびに少しずつ摩耗していくため、あるところで寿命を迎えます。
ブレーキパッドは定期交換が必要
ブレーキパッドの摩耗は走行状態や環境によっても変わりますが、主に走行距離もしくは数年ごとに交換するものです。
ディスクブレーキの構成要素であるブレーキローターやブレーキキャリパーはよほどのことがなければ交換しませんが、ブレーキパッドに関しては数年車に乗っていると交換が発生します。
寿命の目安としては走行距離で30,000~50,000kmごと、もしくは前回の交換から3~5年ごととなっており、そこまで頻度は多くありません。
ただし、これらはあくまで目安であり、実際にはブレーキパッドの状態を確認して判断します。
寿命の見極めはパッドの厚み
ブレーキパッドの寿命は摩擦材の厚みが判断材料で、摩擦が進んで厚みが一定以下になったら交換が必要です。
ブレーキパッドは金属製のベースの上に摩擦材が付いており、摩擦材がブレーキローターとの接触で減っていきます。
新品のブレーキパッドは摩擦材が10mm程度あるのですが、これが2~3mm程度まで減ったら交換時期と判断します。2mmの残りが一瞬で減ることはないのですが、安全を考慮してこの程度が目安とされています。
ブレーキパッドはタイヤを横から見たときに、ホイールの隙間から見えることがあります。その状態ではきちんと寸法を測ることはできませんが、新品の状態を知っていればどのぐらい減ったかの目安はつくでしょう。
ディーラーや自動車修理工場のスタッフなら目視でもある程度把握できるため、何かの際に見てもらうのもおすすめです。
定期点検や車検時期に確認しよう
ブレーキパッドの寿命をもっとも把握できるのは、毎年行う定期点検や2年に1度の車検時期です。
車には定期点検が義務付けられており、12カ月点検と呼ばれる1年ごとの点検を行います。
また2年に1度(新車は3年)車検を受けるのですが、車検時には車の点検整備も含まれるため、これら定期的な点検時にブレーキパッドをチェックします。
点検の結果は整備点検記録簿に記載されますが、そこにはブレーキパッドの厚みも0.1mm単位で細かく計測されていますので、どのぐらい残りがあるか分かります。
また点検時にブレーキパッドの厚みが寿命に近くなっていたら、ディーラーや修理工場などから交換についての提案もあるでしょう。
点検と一緒に交換を行えば作業費用が節約できるため、定期点検のタイミングはブレーキパッドの交換タイミングでもあります。
なお、車検の点検項目ではブレーキパッドの厚みではなく、制動力が確保できているかが判断基準です。
このあたりの判断も専門家にお任せすると安心です。
何年かごとに交換する方法も
ブレーキパッドは走行距離に応じて摩耗していくのですが、あまり車に乗る頻度が多くない方は年数をある程度決めて交換するのもよいでしょう。
交換の目安は3~5年とされていますが、これはある程度平均的に車に乗り続けた場合です。
ですが日常的に運転しない方や趣味の車を持っている方は、年間走行距離がかなり少なくブレーキパッドの減りは抑えられます。
それでもブレーキパッドは古くなると制動性が劣化していきますので、数年ごとの交換でしっかり安全性を確保するとよいでしょう。
ブレーキから異音がしていたら?
車に乗っているとごくたまにブレーキから異音がすることがありますが、もしかしたらブレーキパッドの交換サインかもしれません。
ブレーキからするキーキー音はブレーキパッドの寿命のサイン
ブレーキは正常な場合は変な音はしないものですが、ブレーキから「キーキー」音が聞こえてきたらブレーキパッドが寿命を迎えているかもしれません。
ブレーキパッドには極限まで摩耗したときに音を発する機構が設けられており、ドライバーに知らせるためのキーキー音です。
この音は走行中にブレーキを踏むたびに鳴っているので、ほぼ間違いなくドライバーはブレーキの異常だと気づくでしょう。
ブレーキパッドの寿命の目安は厚みが3mm以下になることですが、キーキー音が鳴るとさらにギリギリまで摩耗している証拠です。
この音が鳴ったらただちにブレーキパッドの交換が必要で、そのまま走行を続けると制動力が低下して危険です。
できるだけ早くディーラーや自動車修理工場に車を運んでメンテナンスを受けましょう。
カラカラ、ゴーのような音は故障の可能性あり
ブレーキパッドの寿命を知らせる音はキーキー音が一般的ですが、もし「カラカラ」「ゴー」などの音が聞こえてきたら深刻な故障がおこっているかもしれません。
ブレーキをかけたときに聞こえるカラカラ、ゴー音はブレーキ関係の部品が破損している可能性があります。
ディスクローターの破損、ブレーキパッドの破損が起こると、破損した部品が原因の音が発生します。
キーキー音もそうですが、ブレーキから異音が発生したときにはただちに点検、メンテナンスを受けてください。
ブレーキの故障した車でも買取可能?
ブレーキパッドの交換であればメンテナンスですぐに正常に戻りますが、ブレーキシステム自体が故障した場合は修理に多額の費用がかかります。
ブレーキシステムはさまざまな機能が合わさっており、一つでも故障すると正常な制動ができなくなります。
費用をかければブレーキシステムの修理は可能ですが、そこまで費用をかけるかは悩みどころです。
場合によっては故障した車を売却したいところですが、ブレーキが故障したままではなかなか買取先が見つかりません。
ですが車買取専門店のユーポスであれば、ブレーキが故障した車でも引き取り可能です。
場合によっては高額査定が付く可能性がありますので、故障車でお悩みの方はぜひ1度ご連絡ください
ブレーキパッド交換の方法とは
では次にブレーキパッド交換の方法をご紹介します。
ディーラー、整備工場などに依頼する
まずもっともオーソドックスな方法は、ディーラーや自動車整備工場に依頼することです。
ブレーキパッドは自動車メーカーや車種ごとにさまざまな種類があり、ブレーキパッドの選定と仕入れ、交換整備までをまとめて行わなければなりません。
これを満足に行えるのは点検整備のプロであるディーラーや自動車修理工場であり、交換を依頼すれば余計な手間なく完了するでしょう。
またディーラー、自動車整備工場ではそのほかの箇所の点検整備もできますので、ブレーキパッドだけでなくブレーキ全体の不具合や問題点の対応もできます。
ブレーキは車の中でも最重要の安全装置ですので、信頼のおける専門家に依頼するのがベストです。
ガソリンスタンドで交換する
ブレーキパッド交換は一部のガソリンスタンドでも交換が可能です。
最近はセルフのガソリンスタンドが主流になっていますが、ブレーキパッド交換は難易度の高い修理項目のため、セルフスタンドではあまり対応していません。
ですが車検や点検整備も請け負っているガソリンスタンドであればブレーキパッド交換も可能なところが多く、燃料補給とともに整備を依頼するとよいでしょう。
ただしブレーキパッドはその車に合う製品を用意しなければならないので、在庫の少ないガソリンスタンドに依頼する際には事前に連絡しておくとスムーズに進むでしょう。
自動車用品店で交換する
自動車用品店では各種ブレーキパッドを販売していますが、実はブレーキパッド交換も同時にできます。
ブレーキパッドは車のカスタマイズ項目の一つでもあり、メーカー標準品のほかにもさまざまな性能に特化した製品があります。
例えばスポーツカー向けに制動力の高いものや、長寿命、ブレーキダストが少ないなど標準品にないメリットを持ちます。
社外品として多くの自動車用品メーカーがブレーキパッドを発売しており、これは自動車用品店で購入できます。
自動車用品店ではブレーキパッド交換も整備メニューの一つとしてそろえており、購入したブレーキパッドをその場で装着してもらえます。
ほとんどは即日対応してもらえるので、ブレーキ性能を変更してみたい人にはおすすめです。
また、純正仕様のブレーキパッドも販売されていますので、カスタム不要な方でも対応できます。
ブレーキパッド交換費用のまとめ
ブレーキパッドは上記の場所で交換できますが、交換費用については大きな差はありません。
この項では費用についてまとめてみました。
ブレーキパッド交換に必要な費用
ブレーキパッド交換に関する費用は大きく分けて2つあり、ブレーキパッド代と交換費用に別れます。
・ブレーキパッド代
まず交換するためのブレーキパッドを購入する費用ですが、これは新品のほかに中古品も選択肢に入ります。
ブレーキパッドは1つのタイヤごとに2枚、車全体で8枚装着されますが、販売されている製品は4枚セット、もしくは8枚セットが多いです。
4枚セットは前後輪どちらかの左右セット、8枚セットは1台分となります。
純正仕様のブレーキパッドであれば4枚セットでおおよそ8,000円、1台分ではその倍が相場となっています。
ただしカスタマイズ用の製品は1セットあたり何万円もするものもあり、制動力の高い製品ほど高額になる傾向です。
普通に車を運転するだけであれば純正品で十分で、スポーツ走行やサーキット走行をする方向けの製品となります。
またブレーキパッドは中古品も販売されており、廃車から取り外したものやカスタムした後の純正品の残りなどが売買されています。
新品に比べるとブレーキパッドの厚みは少なくなりますが、十分に残っていればまだまだ使用可能です。
費用も新品に比べれば何千円も安くなるので、費用を少しでも抑えたい方はよいでしょう。
・交換費用
ブレーキパッドの交換費用はディーラーや整備工場などで大差はありません。
ブレーキパッド交換費用はほとんどの場合、前輪、後輪どちらかの左右セットになります。
費用的には6,000円~8,000円程度が相場となっており、作業自体はブレーキパッドの種類に限らず一律なので交換費用も変動はありません。
あわせて交換するとよいブレーキフルード
ブレーキパッド交換は一緒に行うと効率のよい項目があり、ブレーキフルード交換はその一つです。
ブレーキフルードとはブレーキの油圧を発生するオイルの一種で、ブレーキキャリパーに力を伝えてブレーキパッドを押し付けています。
ブレーキフルードは長年の仕様によって劣化や汚れが進むため、定期的に交換が必要な項目です。
交換の目安としては2年ごとが一般的ですが、フルードが汚れてきた場合は適宜交換がよいでしょう。
ブレーキパッド交換の際には油圧の調整も行うのですが、その際ブレーキフルード交換が一緒に出来るので同時にすると効率的です。
ブレーキパッドよりもフルードのほうが交換頻度が早いので必ず同時にはなりませんが、ブレーキパッド交換とフルード交換のタイミングは合わせられます。
交換費用はブレーキフルード本体と交換費用あわせて5,000円~10,000円程度です。
ブレーキパッド交換にかかる時間は?
ブレーキパッド交換は車の整備内容としてはスムーズに行えるため、必要な交換時間は短時間で済みます。
交換時間の目安としては左右2輪あたり30分~50分程度、1台分でも1時間~1時間半あれば完了します。
ただし自動車用品店などでは休日には順番待ちが発生するので、もう少し余裕を見て時間を確保するとよいでしょう。
ブレーキパッド交換は個人でもできる?
ブレーキパッドは自動車用品店で購入できるのであれば、自分で交換すれば費用が抑えられるかもしれません。
しかし個人でのブレーキパッド交換はリスクも大きく推奨されていません。
個人での交換はグレーゾーン
ブレーキパッド交換は車の点検整備の中でも国の認証を得た工場でしかできないものであり、個人での交換は避けたほうがよい項目です。
国の制度では車の安全に関わる箇所の点検整備は特定の工場にしか認可されておらず、制動力に関するブレーキシステムもこれに含まれます。
認証を受けていない工場でブレーキパッドを交換するのは違法であり、安全性の面でもリスクのある行為です。
個人で車の点検整備をすることはただちに違法とはなりませんが、一方で公道走行には保安基準に適合していなければならないため、個人整備で不具合があれば違法となる可能性は大いにあります。
特にブレーキ関連は安全性の根幹を担う箇所なので、多少費用が安くなるからと自分でブレーキパッド交換を行うのは非常にリスキーです。
交換費用はほかの整備項目と比べても安価ですので、リスクよりはきちんと認証のある工場でブレーキパッド交換をするほうがよいでしょう。
交換だけでなく細かい調整が必要で難易度高
またブレーキパッド交換をする際には部品交換だけではなく細かい調整も必要なため、個人では難易度の高い作業です。
ブレーキパッドを交換するにはタイヤを外してからブレーキキャリパーを外し、内側に取り付けられているブレーキパッドを交換します。
しかしその際には適切な位置にブレーキパッドを調整しなければならず、ブレーキキャリパーのシリンダーを押し込みます。
この調整がうまくいっていないと、走行中に常にブレーキがかかる状態となったり、逆に十分にパッドが接触せず制動力が低下します。
単純な部品の取り換えだけではブレーキの安全性は担保できないので、いくら車好きの方であっても専門家に依頼するほうが懸命です。
まとめ
車のブレーキを安全に運用するためにはブレーキパッド交換はかかせません。
定期的な点検でブレーキパッドの消耗を判断し、専門家に依頼して定期的に交換しましょう。
またブレーキの故障などで走行できない車は売却も考えなければなりませんが、その際に活用できるのが自動車買取専門店ユーポスのサービスです。
ユーポスでは買取専門業のメリットを生かして余計な経費を削減、その分を買取価格に反映させています。
不動車の引取も行っていますので、ブレーキトラブルで置かれたままの車の対処にお困りの方はぜひ一度ご連絡ください。






