車は1万km走ると査定額はいくら下がる?実査定データで走行距離による値落ちを検証
「車は1万km走ると、査定額がどれくらい下がるのか?」
車の売却を考えていると、気になるポイントのひとつが走行距離です。
中古車では「年間1万km前後」がひとつの目安として使われることがあります。
しかし、1万km多く走ることで、実際の査定価格が何万円下がるのかは、単純には分かりません。
走行距離が多い車は、同時に年式も古い傾向があるためです。たとえば3万kmの車と8万kmの車をそのまま比較すると、「5万km多く走った影響」だけでなく「年式が古い影響」まで含まれてしまいます。
そこで今回ユーポスでは、2022年1月~2026年7月の実査定データ117,348件を使用。型式ごとに車齢や査定時期、車両評価などの違いを考慮し、走行距離が1万km増えることで査定価格にどの程度の差が生じるのかを分析しました。
先に結論
比較可能な241型式を分析したところ、走行距離が1万km増えた場合の査定価格への影響は、中央値で約-5.1%でした。
金額に換算した中央値は約3.4万円です。
ただし、「1万km=3.4万円」とすべての車に当てはめることはできません。車両価格が高い車では10万円前後の差になるケースもあり、現在の走行距離によっても影響の大きさは変わりました。
1万km走ると査定価格は約5%下がる傾向
今回、十分なデータ数を確保できた型式について、走行距離と査定価格の関係を分析しました。
その結果、比較可能な241型式における「走行距離+1万km」の影響は、中央値で約-5.1%となりました。
| 分析対象 | 比較可能な241型式 |
|---|---|
| 1万km増加時の影響 | 中央値 約-5.1% |
| 金額換算 | 中央値 約-3.4万円 |
つまり、今回のデータ全体では「1万km多く走っている車は、その他の条件が近い場合、査定価格が約5%低い」というのがひとつの目安になりました。
ただし、ここで注意したいのが「約5%」と「約3.4万円」はあくまで全型式の中央値だということです。
実際には車種によってかなり差があります。
アルファードなら1万kmで約10万円の差になることも
代表的な型式を比較すると、走行距離1万kmの影響は次のようになりました。
| 車種・型式 | 1万km増加時 | 金額換算の目安 |
|---|---|---|
| アルファード AGH30W | 約-2.9% | 約-10.6万円 |
| ヴォクシー ZRR80W | 約-5.2% | 約-9.5万円 |
| N-BOX JF3 | 約-5.1% | 約-5.5万円 |
| ハリアー ZSU60W | 約-2.5% | 約-4.4万円 |
| プリウス ZVW30 | 約-4.8% | 約-1.4万円 |
| ランドクルーザープラド TRJ150W | 約-1.2% | 約-4.5万円 |
ここで興味深いのが、下落率が大きい車ほど、必ずしも金額も大きいわけではないことです。
アルファードAGH30Wは約-2.9%ですが、金額換算では約10.6万円。一方、プリウスZVW30は約-4.8%でも、金額換算では約1.4万円でした。
もともとの車両価値が違うため、同じ「1万km」でも査定価格への影響額は大きく変わります。
高額車ほど「率は小さくても金額は大きい」
この違いを確認するため、型式ごとの代表的な査定価格帯に分けて集計しました。
| 代表価格帯 | 下落率中央値 | 下落額中央値 |
|---|---|---|
| 50万円未満 | 約-6.5% | 約-1.2万円 |
| 50~100万円 | 約-5.9% | 約-3.7万円 |
| 100~200万円 | 約-4.9% | 約-6.1万円 |
| 200~300万円 | 約-3.9% | 約-9.6万円 |
| 300~500万円 | 約-2.6% | 約-9.3万円 |
50万円未満の車では、1万km増加の影響は率で見ると約-6.5%と比較的大きいものの、金額では約1.2万円でした。
一方、200~300万円の価格帯では下落率は約-3.9%ですが、金額では約9.6万円です。
「1万km走ると何万円下がるか」は、車両価格によって大きく違う。
一律に「1万km=○万円」と考えるのは難しいことが分かります。
1万kmの影響は、現在の走行距離によっても違う
もうひとつ確認したのが、「どの1万kmでも影響は同じなのか」という点です。
分析結果を見ると、そうではありませんでした。
| 走行距離の変化 | 査定価格への影響 |
|---|---|
| 1万km → 2万km | 約-3.6% |
| 2万km → 3万km | 約-4.0% |
| 3万km → 4万km | 約-4.8% |
| 4万km → 5万km | 約-5.3% |
| 5万km → 6万km | 約-5.6% |
| 6万km → 7万km | 約-5.8% |
| 7万km → 8万km | 約-5.8% |
| 8万km → 9万km | 約-5.6% |
| 9万km → 10万km | 約-5.4% |
| 10万km → 11万km | 約-5.1% |

今回の分析では、1~2万kmでは約-3.6%だったのに対し、5~8万km付近では約-5.6~5.8%まで影響が大きくなりました。
一方、9~10万kmは約-5.4%、10~11万kmは約-5.1%です。
つまり、「10万kmを超えた瞬間だけ、査定価格が急激に下がる」という結果ではありません。
むしろ今回のデータでは、10万kmに到達する前から走行距離の増加が段階的に査定価格へ反映されていました。
これは、ユーポスが以前実施した「10万kmの壁」の検証とも共通する結果です。
「1万km多く走る」と「1年古くなる」、どちらが査定に効く?
走行距離と同じく、査定価格に大きく影響するのが年式です。
そこで今回は、走行距離が1万km増える影響と、車齢が1年増える影響も比較しました。
241型式の中央値では、
| 走行距離 +1万km | 約-5.1% |
|---|---|
| 車齢 +1年 | 約-7.7% |

全体としては、「1万km多く走る」より「1年古くなる」方が査定価格への影響が大きい結果でした。
241型式のうち、1万km増加の影響が1年経過の影響を上回った型式は約27%です。
代表的な型式でも、この傾向が確認できます。
| 車種・型式 | +1万km | +1年 |
|---|---|---|
| アルファード AGH30W | 約-2.9% | 約-6.2% |
| ヴォクシー ZRR80W | 約-5.2% | 約-8.7% |
| N-BOX JF3 | 約-5.1% | 約-7.0% |
| ハリアー ZSU60W | 約-2.5% | 約-7.7% |
| プリウス ZVW30 | 約-4.8% | 約-11.4% |
| ランドクルーザープラド TRJ150W | 約-1.2% | 約-3.8% |
これは、「1万kmを超えそうだから、それだけを理由に急いで売却した方がいい」とは限らないことも示しています。
売却時期を考える場合は、走行距離だけでなく年式や現在の市場相場もあわせて考える必要があります。
なぜ1万kmで査定価格が下がるのか
走行距離は、中古車の価値を判断する代表的な要素のひとつです。
距離が増えれば、エンジンや足回り、ブレーキなど各部品の使用量も増えます。また、中古車を購入する側も走行距離を車選びの条件として見るため、再販時の需要にも影響します。
ただし、走行距離だけで査定価格が決まるわけではありません。
年式、グレード、ボディカラー、装備、修復歴、内外装の状態、市場での人気、海外輸出需要など、多くの条件が組み合わさって最終的な車両価値が決まります。
そのため、「1万km増えれば必ず5.1%下がる」という使い方はできません。
「5万kmになる前に売る」「10万kmになる前に売る」は正しい?
中古車では、5万kmや10万kmといったキリのよい走行距離が売却時の目安として語られることがあります。
しかし、今回の実査定データでは、特定の数字を超えた瞬間だけ査定価格が大きく変わるという単純な結果ではありませんでした。
1万km台から距離が増えるにつれて影響は徐々に大きくなり、5~8万km付近で相対的に大きくなったあと、10万km前後ではむしろ少し緩やかになっています。
「あと1,000kmで5万kmだから」「もうすぐ10万kmだから」という理由だけで、売却を急ぐ必要があるとは言い切れません。
実際の査定価格は、現在の車両価値や年式、市場相場も含めて判断する必要があります。
今回の調査・分析について
本記事では、株式会社ユーポスが保有する2022年1月~2026年7月の実査定データ117,348件を分析しました。
単純に走行距離帯ごとの平均査定価格を比較するのではなく、型式ごとに分析し、車齢、走行距離、査定時期、車両評価など査定価格に影響する条件の違いを考慮しています。
そのうえで、比較に必要なデータ数を確保できた241型式について、「走行距離が1万km増えた場合」の査定価格への影響を推定し、その中央値を算出しました。
本記事の数値は、多数の査定データから確認された統計的な傾向です。個別の車両が同じ割合・金額で変動することを示すものではありません。
車両の装備、細かなグレード差、ボディカラー、修復歴、内外装状態、市場環境など、データ上完全には統一できない要素があります。
また、「金額換算」は各型式の代表的な査定価格水準に推定された変化率を当てはめた目安であり、同一車両を実際に1万km走行させて再査定した差額ではありません。
まとめ|1万kmの影響は約5%。ただし車種・価格・現在の距離で変わる
117,348件の実査定データを分析した結果、比較可能な241型式では、走行距離が1万km増えることによる査定価格への影響は中央値で約-5.1%でした。
金額換算の中央値は約3.4万円ですが、高額車では1万kmで10万円前後の差になるケースもあります。
また、走行距離の影響は一定ではなく、今回のデータでは5~8万km付近で相対的に大きくなりました。
さらに、241型式全体では「1万km多く走る」より「1年古くなる」方が査定価格への影響が大きい傾向も確認されています。
「1万km=○万円」「10万kmを超えたら一気に安くなる」と一律に考えるのではなく、その車種・型式・年式・現在の走行距離を含めて見ることが重要です。
現在の愛車が「あと1万km走ったらいくら変わるのか」を正確に知るには、一般的な目安ではなく、その時点の車両状態と中古車相場をもとに査定する必要があります。






