車はあと1年乗ると査定額はいくら下がる?実査定データで「今売る・1年後に売る」を比較
「今売るか、もう1年乗るか」
車の買い替えを考えていると、迷いやすいポイントのひとつです。
もう1年乗れば、その分だけ車を利用できます。一方で、その間に年式は1年古くなり、走行距離も増えます。
では、あと1年乗ることで、査定価格は実際にどれくらい変わるのでしょうか。
そこで今回ユーポスでは、2022年1月~2026年7月の実査定データ117,348件をもとに、比較可能な241型式について、
- 1年古くなる側の影響
- 走行距離が1万km増える影響
を型式ごとに分析しました。
そのうえで、「あと1年乗り、その間に1万km走行した場合」に査定価値がどの程度変わるのかを推定しています。
先に結論
比較可能な241型式を分析したところ、あと1年乗り、その間に1万km走行した場合、査定価値の低下率は中央値で約13.1%でした。
ただし、この「13.1%」の中身は車齢によって大きく異なります。
新しい車では走行距離の影響が相対的に大きく、年数が経つにつれて「年式側」の影響が強くなる傾向が確認されました。
あと1年+1万kmで、査定価値は約13%低下
今回の分析では、車齢が1年増える影響と、走行距離が1万km増える影響を型式ごとに組み合わせました。
その結果、241型式の中央値では、あと1年+1万kmで査定価値は約13.1%低下する結果となりました。
これは単純に「年式の影響+1万kmの影響」を足した数字ではありません。
各型式について両方の影響を組み合わせ、その結果の中央値を算出しています。
| 分析対象 | 241型式 |
|---|---|
| 条件 | 1年経過+1万km走行 |
| 査定価値の変化 | 中央値 約-13.1% |
今200万円の車なら、1年後は約174万円が目安
13.1%という数字だけでは分かりにくいため、現在の査定価値別に金額へ置き換えてみます。
| 現在の査定価値 | 1年+1万km後の目安 | 価値低下の目安 |
|---|---|---|
| 50万円 | 約43万円 | 約6.6万円 |
| 100万円 | 約87万円 | 約13.1万円 |
| 200万円 | 約174万円 | 約26.2万円 |
| 300万円 | 約261万円 | 約39.4万円 |
| 500万円 | 約434万円 | 約65.6万円 |
現在200万円の査定価値がある車なら、1年間で約26万円。
月あたりにすると、約2.2万円に相当します。
ただし、この金額はあくまで車両価値の変化です。
1年間その車を利用できるため、これをそのまま「損」と考えるのは適切ではありません。
「あと1年」の中身は、車齢によって変わる
ここからが今回の分析で特に興味深かった点です。
「あと1年+1万km」の影響を、
- 1年古くなる側の影響
- 1万km多く走る影響
に分けて確認すると、新しい車と年数が経った車では、どちらの影響が大きいかが変わりました。
| 現在→1年後 | 1年古くなる側 | +1万km | 相対的に強い方 |
|---|---|---|---|
| 0→1年 | -3.0% | -3.6% | 距離 |
| 1→2年 | -2.5% | -3.7% | 距離 |
| 2→3年 | -2.1% | -3.7% | 距離 |
| 3→4年 | -4.4% | -4.0% | ほぼ同程度 |
| 4→5年 | -7.3% | -5.1% | 年式 |
| 5→6年 | -6.3% | -5.4% | 年式 |
| 6→7年 | -8.0% | -5.8% | 年式 |
| 7→8年 | -10.5% | -5.8% | 年式 |
| 8→9年 | -11.2% | -6.2% | 年式 |
| 9→10年 | -10.3% | -6.0% | 年式 |
| 10→11年 | -11.8% | -6.3% | 年式 |
| 11→12年 | -13.9% | -6.0% | 年式 |

新しいうちは「どれだけ走ったか」の影響が大きく、年数が経つと「何年式か」の影響が大きくなる傾向が確認されました。
0→1年、1→2年、2→3年では、年式側よりも1万km増加の影響の方が大きくなっています。
3→4年付近でほぼ並び、4年目以降になると年式側の影響が上回ります。
7→8年では、年式側が約-10.5%に対し、1万kmの影響は約-5.8%。
8→9年では、年式側が約-11.2%、1万km側が約-6.2%となっています。
新しい車では、なぜ走行距離の影響が大きい?
新車から数年程度であれば、同じモデル世代の中で比較されるケースが多くなります。
たとえば同じ型式・同じ世代の2台なら、年式が1年違うことより、走行距離が1万km多いことの方が、中古車としての商品性の違いになりやすい場合があります。
今回のデータでも、0~3年程度までは「1年古くなる側」の影響より「1万km増える影響」の方が大きくなりました。
年数が経つと「年式」の影響が強くなるのはなぜ?
ここでいう「年式の影響」は、車体が物理的に1年古くなったことだけを意味しているわけではありません。
中古車の価値は、その車が市場でどのような位置づけになっているかにも左右されます。
モデルチェンジで「現行型」から「旧型」になる
年数が経過すると、フルモデルチェンジを経験する車種が増えてきます。
同じ型式の車でも、新型が登場する前には「現行モデル」だったものが、新型登場後には「旧モデル」として中古車市場で評価されることになります。
つまり、
「1年古くなった」だけではなく、「モデルそのものが古くなった」
という市場価値の変化が含まれる場合があります。
そのため、今回の分析で「年式側の影響」として表れている数字には、単純な経年だけでなく、モデルチェンジによって現行型から旧型へ移行した影響も含まれていると考えられます。
輸出市場では「何年落ちか」が重要になることもある
もうひとつ考えられる要因が、中古車の海外輸出です。
日本の中古車は国内だけでなく海外にも流通しており、輸出先によっては車齢に関する輸入条件があります。
一定の年式を境に輸出できる市場が変わったり、税制などの条件が変わったりする場合、その型式の海外需要にも影響します。
また実際の取引では、日本での仕入れから輸出手続き、船積みまで時間が必要です。
そのため、規制年齢に達した瞬間ではなく、その少し前から業者の仕入れ需要が変化することもあります。
こうした海外需要の変化も、中古車市場で「年式」が単なる古さ以上の意味を持つ理由のひとつです。
注意:今回の査定データだけから、「7→8年の下落はモデルチェンジが原因」「輸出規制が原因」と個別に特定することはできません。これらは、年式とともに中古車の市場評価が変化する理由として考えられる要因です。
年間走行距離が多いほど、1年後の価値差は大きくなる
もちろん、年式の影響が大きくなるからといって、走行距離が関係なくなるわけではありません。
年間走行距離を5,000km・1万km・1万5,000kmに分けて試算すると、241型式の中央値では次のようになりました。
| 1年間の走行距離 | 査定価値の変化 | 現在200万円なら |
|---|---|---|
| 5,000km | 約-10.2% | 約20万円減 |
| 10,000km | 約-13.1% | 約26万円減 |
| 15,000km | 約-15.8% | 約32万円減 |
あまり走らない場合でも年式は1年進みます。
一方、年間走行距離が多ければ、そこに距離による影響がさらに加わります。
「10年落ちになる前に売る」だけでは判断できない
今回の結果を見ると、「10年落ち」という一つの数字だけを売却時期の基準にするのは難しいことが分かります。
年式側の影響は、
- 7→8年:約-10.5%
- 8→9年:約-11.2%
- 9→10年:約-10.3%
- 10→11年:約-11.8%
となりました。
「9年落ちから10年落ちになる瞬間だけ急激に下がる」という結果ではありません。
モデルチェンジや海外需要など、市場環境の変化は車種・型式ごとに異なるためです。
さらに言うと、今回の調査では車両の内外装・期間機構系の状態を考慮していません。「10年落ちから11年落ちになった際の査定価格の下落」の中には、エンジンに問題が発生した車両、内外装にダメージを負った車両、というものが含まれているはずです。
「あと何か月で10年落ちになるか」だけでなく、自分の車が現在どのモデル世代にあり、どのような市場需要があるかを見ることが重要です。
「あと1年乗る=損」ではない
ここまでの数字を見ると、「早く売った方が得」と感じるかもしれません。
しかし、今回の分析は売却を急ぐことを勧めるものではありません。
車をあと1年保有すれば、その1年間は当然その車を利用できます。
したがって、
「1年間で査定価値が26万円下がる」=「今売らないと26万円損をする」
という意味ではありません。
売却時期を考える際には、
- 車検
- 自動車税
- 保険
- メンテナンス費用
- 燃料費
- 車両価値の変化
などを含めて考える必要があります。
今回の分析は、その中でも普段は見えにくい「あと1年間保有した場合の車両価値の変化」を数値化したものです。
今回の調査・分析について
本記事では、株式会社ユーポスが保有する2022年1月~2026年7月の実査定データ117,348件を使用しています。
十分なデータを確保できた型式について、型式ごとに車齢・走行距離・査定時期などと査定価格の関係を分析しました。
記事中の「年式側」「走行距離側」の数値は、各型式で推定した変化率を算出し、その中央値を使用しています。
本記事で掲載している数字は、多数の査定データから確認された統計的な傾向です。同じ車両を実際に1年間保有して再査定した差額を追跡したものではありません。
また、本記事でいう「年式側の影響」は、車体が物理的に1年古くなったことだけを表すものではありません。モデルチェンジや輸出需要など、年式とともに変化する市場環境の影響も含まれます。
中古車は一物一価性が高く、車種、型式、グレード、ボディカラー、装備、走行距離、修復歴、内外装状態、査定時期、市場環境などによって価格は大きく変わります。本分析は、あくまで参考値としてお読みいただけますと幸いです。
まとめ|新しいうちは距離、年数が経つと年式の影響が強くなる
実査定データを分析した結果、あと1年乗り、その間に1万km走行した場合、査定価値は全体中央値で約13.1%低下する結果となりました。
ただし、その中身は車齢によって大きく異なります。
0~3年程度では、1年古くなることよりも1万km走ることの影響が大きい傾向が確認されました。
一方、3~4年付近から逆転し、年数が経過するほど「年式側」の影響が強くなっています。
新しいうちは「どれだけ走ったか」。年数が経つと「何年式か」。ただし後者には、車体の経年だけでなく、モデルチェンジや輸出市場などによる市場価値の変化も含まれます。
車を今売るか、あと1年乗るかを考える際には、単純な平均値だけでなく、愛車の型式・年式・走行距離・現在の市場での位置づけを見ることが重要です。






