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走行距離5万・7万・10万kmに「価格の壁」はあるのか?

「あと数百kmで5万km」「もうすぐ7万km」「10万kmになる前に売った方がいい?」。車を売却するとき、こうしたキリのよい数字が気になることがあります。

ただ、走行距離が増えるにつれて徐々に査定額が下がることと、5万kmを1km超えた瞬間に追加の値下がりが起こることは、まったく別の話です。

そこでユーポスの査定記録を使い、5万・7万・10万kmという境界の「すぐ手前」と「すぐ先」を比較しました。さらに、4万・6万・8万kmなどでも同じ比較を行い、特定の数字だけが特別なのか検証しています。

今回の結論5万・7万・10万kmのいずれも、境界を超えた瞬間だけ査定額が大幅に下がるという明確な証拠は確認できませんでした。ただし、10万km付近は比較可能な件数が少なく、「壁が絶対に存在しない」と証明したものではありません。

5万・7万・10万kmの前後で、査定額にどれくらい差があった?

型式・グレード・登録年・査定年・評価点が一致し、境界の前後5,000km以内にそれぞれ車両が存在する比較グループを取り出しました。

距離の境界 比較グループ数 金額差(参考) 比率差(参考)
5万km 154組 約−3.6万円 約−1.4%
7万km 113組 約−3.7万円 約−5.1%
10万km 37組 約−3.8万円 約−5.9%

※比較対象の車両は各境界で異なります。金額差は組別中央値差の加重平均、比率差は組別中央値比率の加重幾何平均です。いずれも件数を考慮した参考差です。査定額は実際の買取契約額ではありません。走行距離が数千km異なることによる通常の値落ちも含まれます。

ここで、たとえば「7万kmを超えると5.1%下がる」と読むのは正確ではありません。比較しているのは約6.5万~7万kmの車と約7万~7.5万kmの車であり、その距離差によって下がる分も含むためです。

比較用の4万・6万・8万kmでも、価格は下がっていた

では、今回の注目地点ではない4万km・6万km・8万kmなどでも同じように差が出るのでしょうか。先ほどと同じ条件で対照地点を調べました。

比較地点 条件一致グループ数 前後5,000kmの査定額差
4万km(対照) 167組 約−3.5%
5万km(注目) 154組 約−1.4%
6万km(対照) 95組 約−4.7%
7万km(注目) 113組 約−5.1%
8万km(対照) 88組 約−3.2%
9万km(対照) 58組 約−1.7%
10万km(注目) 37組 約−5.9%

6万kmという対照地点でも約4.7%の差がありました。つまり、7万km前後の差が特別に大きいとは、この表だけでは言えません。ある距離の前後で価格差があることと、その数字に独立した「壁」があることは区別が必要です。

グラフで見る|注目地点と対照地点の比較

下のグラフでは、5万・7万・10万kmを青緑色、そのほかの距離を灰色で示しています。注目地点以外でも下落が見られ、数字だけを境に急落するとは言い切れないことが分かります。

5万・7万・10万kmと3万・4万・6万・8万・9万・11万kmの境界前後5,000kmの査定額差を示す棒グラフ。5万kmはマイナス1.4%、7万kmはマイナス5.1%、10万kmはマイナス5.9%。対照地点でも下落が見られる。

図:境界前後5,000kmの査定基準額の参考差。青緑=今回の注目地点、灰色=対照地点。いずれも通常の走行距離増加による値落ちを含み、境界固有の効果を示すものではありません。画像をタップすると拡大できます。

※各地点で比較対象の車種・価格帯・組数は異なり、数値の単純な大小だけで「どの距離帯が最も値落ちするか」を示すものではありません。

通常の値落ちを考慮しても「突然の段差」は確認できる?

さらに、境界の左右で走行距離に沿った通常の値落ち傾向を考慮する追加の統計分析も行いました。

その結果、5万kmで明確な急落を示す結果は得られず、7万km・10万kmでも推定のばらつきが大きく、境界固有の下落幅を確定できませんでした。

特に注意したいのは10万kmの結果です。10万km付近では同じ車両条件で前後を照合できたのが37組・89件にとどまりました。条件を厳しくするほど件数はさらに減るため、「10万kmの壁はない」と断定する材料ではありません。

売却前に「あと1,000km」で焦る必要はある?

今回の検証だけで「49,900kmと50,100kmの査定額は必ず同じ」とは言えません。中古車の再販時に走行距離の条件が使われることもあり、グレード・車種・年式やその時点の市場によって評価は変わります。

一方で、「5万kmを超えると必ず○万円下がる」「7万kmに到達したら一律○%減額される」というルールも、今回のデータでは裏づけられませんでした。

走行距離だけを理由に売却を早めるのではなく、現在の車両状態や使用予定、相場を踏まえて判断する方が適切です。

既存の走行距離分析との違い

ユーポスでは過去に、10万km前後の価格推移を車種・世代別に比較した記事や、1万km増えると査定価格がどれくらい変わるかを分析した記事を公開しています。

今回の新しい視点は、「5万・7万・10万kmという数字のすぐ前後で、条件を揃えて比べるとどうなるか」です。過去記事の距離別推移や車種別分析を補う検証としてご覧ください。

よくある質問

Q. 5万kmになる前に売った方が得ですか?

必ずしもそうとは言えません。今回の条件一致比較では、5万kmを超えたことによる追加的な急落は確認できませんでした。ただし、実際の評価は車種や車両状態、相場によって異なります。

Q. 7万kmは査定で特別な区切りですか?

7万kmの前後で価格差は見られますが、6万kmなどの対照地点でも差があります。そのため、7万kmだけが独立した減価の境界だとは判断できません。

Q. 10万kmを超えたら査定額が一気に下がるのですか?

車種や市場によって異なります。今回の厳密な条件一致比較では10万kmをまたぐデータ数が少なく、急落の有無を断定できません。10万km前後のより広い傾向は、上記の既存記事でも紹介しています。

今回の調査・分析について

査定期間:2023年10月~2026年9月 元データ:44,302件
分析母集団:条件・重複等を整理した21,961件
対象:来店・出張査定、登録2012~2025年、評価点3.5点以上
比較方法:同一型式・グレード・登録年・査定年・評価点の条件一致グループで境界前後を比較
価格指標:査定基準額。実際の買取契約価格ではありません

今回の比較は異なる車両の観測データを使った統計的な傾向です。ボディカラー、オプション、個別の修理状況、補助評価などを完全に統一したものではありません。特定の距離を超えることの因果的な値下がりを証明・否定するものではなく、少数サンプルでは結果が不安定になる可能性があります。

愛車の現在の価値を知りたい方へ

走行距離が5万・7万・10万kmに近い場合でも、数字だけで価格を決めつける必要はありません。実際の査定では、車種・グレード・装備・車両状態・相場動向などを確認します。

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