修復歴ありの車は査定額がいくら下がる?実査定データで修復歴による価格差を検証
「修復歴があると、車の査定額はどれくらい下がるのか?」
車を売却するとき、気になるポイントのひとつが修復歴による査定額への影響です。
「事故車は大幅に安くなる」「修復歴があると30%くらい下がる」といった情報を見かけることもありますが、実際の中古車査定では、修復歴だけで一律に価格が決まるわけではありません。
そこでユーポスでは、2022年9月~2026年8月の実査定データを使い、修復歴ありとして評価された車と、修復歴なしとして評価された車の査定価格を比較しました。
この記事で紹介する金額や割合は、多数の査定データを分析した結果として見られた「傾向」です。
「修復歴があれば必ず○万円下がる」「この車種なら修復歴があっても下がらない」という意味ではありません。中古車は一台ごとの条件によって価格が大きく異なるため、掲載数値を個別の車両にそのまま当てはめることはできません。
そもそも「修復歴あり」とは?
中古車業界でいう「修復歴」は、単に「事故を起こしたことがある車」という意味ではありません。
一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会(JU中販連)では、修復歴を、交通事故その他の災害などによって車体の骨格にあたる部位を損傷し、修正または交換によって復元したものと説明しています。
対象となる骨格部位には、フレーム(サイドメンバー)、クロスメンバー、フロントインサイドパネル、ピラー、ダッシュパネル、ルーフパネル、フロアパネル、トランクフロアパネルなどがあります。
そのため、たとえばバンパーやドアなどを交換した経験があるからといって、それだけで必ず「修復歴あり」になるわけではありません。
参考:一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会「中古車購入ノウハウ/修復歴」
※修復歴の定義については自動車公正競争規約に基づく説明を参照しています。
結論:修復歴による減額は「一律○万円」「一律○%」ではない
今回の分析でまず確認できたのは、修復歴ありとして評価された車は、全体として査定価格が低くなる傾向があるということです。
ただし、その下がり方は一律ではありませんでした。
大きく見ると、車両価格が高くなるほど修復歴による減額金額は大きくなる傾向があります。
一方で、価格に対する減額率を見ると、低価格帯の車ほど大きく見え、高価格帯になるほど小さくなる傾向が確認されました。
| 非修復時の価格帯 | 修復歴による減額額の中央値 | 減額率の中央値 |
|---|---|---|
| 30万円未満 | 約6.1万円 | 約35.7% |
| 30~50万円 | 約13.4万円 | 約37.5% |
| 50~100万円 | 約19.3万円 | 約34.7% |
| 100~150万円 | 約40.1万円 | 約33.3% |
| 150~200万円 | 約44.7万円 | 約27.1% |
| 200~300万円 | 約57.9万円 | 約24.1% |
| 300~500万円 | 約80.1万円 | 約19.8% |
※価格帯ごとに比較可能な型式を集計した中央値です。個別車両の査定額や減額額を示すものではありません。

低価格車ほど「減額率」が大きく見える理由
ここで注意したいのが、「何%下がったか」だけでは修復歴の影響を正しく捉えにくいという点です。
たとえば20万円の車が8万円下がれば、減額率は40%です。
一方、400万円の車が60万円下がった場合、減額金額ははるかに大きいにもかかわらず、減額率は15%です。
つまり、もともとの車両価格が低いほど、比較的小さな金額差でも「○%減」という数字は大きくなります。
今回の実査定データでも、低価格帯では減額率が30%を超える一方、高価格帯になるほど率は小さくなる傾向が見られました。
そのため、修復歴の影響を見る際には、「何%下がるか」だけでなく「実際に何万円の差になっているか」もあわせて見る必要があります。
同じ価格帯でも、修復歴による影響は車種・型式によって違う
さらに興味深いのが、同程度の価格帯であっても、修復歴による査定価格の差が型式によって大きく異なったことです。
代表的な型式を比較すると、次のような結果になりました。
| 車種・型式 | 非修復車の価格中央値 | 補正後の価格差 | 金額換算の目安 |
|---|---|---|---|
| カローラアクシオ NZE141 | 約33万円 | 約-2.2% | 約0.7万円 |
| ハリアー ACU30W | 約65万円 | 約-7.2% | 約4.7万円 |
| フリード GB3 | 約36万円 | 約-53.6% | 約19.3万円 |
| N-BOX JF3 | 約110万円 | 約-38.7% | 約42.5万円 |
| ヴォクシー ZRR80W | 約200万円 | 約-24.9% | 約49.9万円 |
| アルファード AGH30W | 約375万円 | 約-21.4% | 約80.1万円 |
| ランドクルーザープラド TRJ150W | 約390万円 | 約-14.0% | 約54.4万円 |

たとえば、非修復車の価格中央値が約33万円だったカローラアクシオ(NZE141)では、今回の分析で確認された差は約2.2%でした。
一方、価格中央値が近い約36万円のフリード(GB3)では、約53.6%の差が確認されています。
もともとの車両価格が近くても、修復歴による価格差が同じになるわけではないことが分かります。
上記の金額は「この型式なら修復歴によって必ずこの金額が下がる」という意味ではありません。型式ごとの分析結果を分かりやすく金額換算したものです。個別の車両では大きく異なる場合があります。
高額車でも「修復歴なら○%減」とは決められない
高価格帯でも同じです。
今回のデータでは、アルファード(AGH30W)は非修復車の価格中央値が約375万円で、修復歴ありとして評価された場合の補正後の差は約21.4%、金額換算では約80万円でした。
一方、ランドクルーザープラド(TRJ150W)は非修復車の価格中央値が約390万円と近い価格帯ですが、補正後の差は約14.0%、金額換算では約54万円でした。
同じ300万円台後半の車であっても、今回のデータでは20万円以上の違いが生じています。
この結果からも、「300万円の車なら修復歴で○万円下がる」といった単純な計算はできないことが分かります。
修復歴があっても、価格差が小さい型式もあった
今回の分析では、修復歴ありとして評価されていても、修復歴なしの車との価格差が比較的小さい型式も確認されました。
そのひとつが30系ハリアーのACU30Wです。
非修復車の価格中央値は約65万円で、修復歴による補正後の価格差は約7.2%でした。
ただし、この結果を「30系ハリアーなら修復歴があっても査定額は下がらない」と解釈することはできません。
今回の分析で比較できたのは修復歴あり24件、非修復35件で、統計的な不確実性を考慮すると、明確な価格差が確認できなかったというのが正確な表現です。
一方で、修復歴による価格差が大きかった型式も存在します。
つまり、実際の中古車市場では「修復歴」というひとつの情報だけで査定価格への影響を決めることは難しいと考えられます。
なぜ同じ修復歴でも査定額への影響が違うのか
中古車の価格は、修復歴だけで決まるものではありません。
同じ車種・型式であっても、少なくとも次のような条件によって査定価格は変わります。
- 年式
- 走行距離
- グレード
- ボディカラー
- 内外装の状態
- 装備・メーカーオプション
- 修復した箇所や損傷の程度
- 修復状態
- 査定した時期
- 国内中古車市場の需給
- 海外での需要
- 輸出先となる国・地域の輸入規制や制度
ユーポスでは、修復歴以外の査定要因についても実査定データを使って検証しています。 車は何年落ちで査定額が下がるのか 、 走行距離10万kmを超えると本当に価値が下がるのか 、 ボディカラーで査定額はいくら変わるのか についても、それぞれ分析しています。
特に中古車は「一物一価」の性質が非常に強い商品です。
同じ型式・同じ年式・同程度の走行距離でも、グレードや色、装備、車両状態が違えば査定価格は変わります。
さらに、一部の車種は海外への輸出需要が中古車相場に大きく影響します。
この場合、国内での人気や一般的な需給だけでは価格を説明できないことがあります。仕向国側の年式規制、輸入条件、税制や制度の変更などによって、特定の年式・型式の需要が短期間で変化することもあります。
そのため、過去の平均的な傾向が、そのまま現在の1台の査定価格に当てはまるとは限りません。
修復歴の「程度」も一台ずつ違う
もうひとつ重要なのが、同じ「修復歴あり」であっても、その内容は一台ずつ異なることです。
今回の分析では、修復歴あり・なしという区分を使って比較していますが、どの骨格部位を、どの程度損傷し、どのように修復したのかまでを同一条件にそろえているわけではありません。
したがって、この記事で示した価格差には、さまざまな状態の修復歴車が含まれています。
「修復歴あり」という言葉だけを見て、すべての車が同じ割合で減額されると考えることはできません。
「修復歴あり=査定額が○%下がる」と考えないことが重要
今回の実査定データからは、修復歴ありとして評価された車は、全体として査定価格が低くなる傾向が確認されました。
しかし、分析を細かくすると、その影響はかなり複雑です。
- 車両価格が高くなるほど、減額される「金額」は大きくなる傾向がある
- 低価格車ほど、減額「率」は大きく見えやすい
- 同じ価格帯でも、型式によって修復歴による価格差は大きく異なる
- 今回のデータでは、明確な価格差を確認できなかった型式もある
したがって、
「修復歴ありなら○万円安くなる」
と一律に考えるのは適切ではありません。
この記事の数値は、あくまで過去の多数の査定データから確認された傾向です。
ご自身の車の査定価格を知りたい場合は、実際の車両状態を確認したうえで査定する必要があります。
調査方法について
| 対象期間 | 2022年9月~2026年8月 |
|---|---|
| 使用データ | ユーポスの実査定データ |
| 比較対象 | 修復歴ありとして評価された車と、修復歴なしとして評価された車 |
| 主な調整項目 | 型式、年式、走行距離、グレード、査定時期、ボディカラー、駆動方式、燃料種別など |
| 対象外 | 分析条件を満たさないデータ、比較に必要なサンプル数を確保できない一部の型式など |
単純に「修復歴あり車の平均査定額」と「修復歴なし車の平均査定額」を比較すると、年式や走行距離、車種構成などの違いまで修復歴の影響として表れてしまいます。
そのため今回の分析では、型式をそろえたうえで、年式、走行距離、グレード、査定時期、ボディカラーなど、査定価格に影響する主な条件を調整して比較しています。
本分析は、修復歴による査定価格への影響を統計的に検証したものであり、修復歴だけが価格差の原因であることを証明するものではありません。
また、修復箇所・損傷程度・修復品質、細かな装備、車両ごとの状態、輸出先の規制・需要など、データ上完全には調整できない要素があります。
中古車相場は常に変動しており、本調査期間に確認された傾向が将来も同じように続くことを保証するものではありません。
まとめ
今回、ユーポスの実査定データを分析した結果、修復歴ありとして評価された車は、全体として査定価格が低くなる傾向が確認されました。
一方、その影響は一律ではありません。
車両価格が高くなるほど減額金額は大きくなる傾向があるものの、同じ価格帯でも型式によって価格差は大きく異なり、中には今回のデータでは明確な差が確認できなかった型式もありました。
中古車は、年式や走行距離だけでなく、グレード、色、装備、状態、修復内容、査定時期、国内外の需要など、多数の条件によって価格が決まります。
車検残についても同様に、単純に「長く残っているほど高い」とは限りません。 車を売る前に車検を通すべき?約7.7万件の実査定データで査定額への影響を検証 では、車検残と査定価格の関係も実査定データから検証しています。
そのため、「修復歴があるから○万円」「事故をしたから○%」と計算することはできません。
ネット上の相場情報やこの記事の数値は、自分の車の価値を考えるためのひとつの参考材料として利用し、最終的には実車を査定して確認することが大切です。






